2012年12月21日金曜日

母指CM関節症


母指CM関節症に対する人工関節治療は完全にギブアップした。

20年以上前にパリでインターンしていたころから始まり、結果がうまくいかない症例が多かった。その後、6年前に教授としてストラスブールに来た時に、器械がだいぶ改善したというのでボール・ソケットの人工関節に再トライした。ここで50例はやったと思う。術後2年まではすこぶるいい。でもそれ以降に高頻度でルースニングが生じる。半分がリオペ(大菱形骨切除)になる。だからもう絶対にやらない。でもフランスで発達した歴史があるから使い続ける医者はいると思う。

とういう話を、右手の母指CMに人工関節を入れて、めちゃくちゃ調子がいいので左手も同じようにやってもらいたいという患者さんが来た時に「やりません」と断りながら教えてくださいました。

現在は、AS下でデブリ+遊離骨切除+PL腱挿入というメニューで治療しています。テンポラリーピンニングはしません。

2012年12月20日木曜日

一応

奨学金制度には海外から応募できるものを含め計6つ申請いたしましたがすべて落ちました。
ご報告まで。

2012年12月16日日曜日

週末は混みます

クリスマスが近づき、街にはどんどん人が増えてきました。


たくさんの人



クリスマスソングの生演奏が購買欲をかきたてます


たくさんの人



 
門松ならぬモミの木

町のシンボル、コウノトリのフィギュア




2012年12月3日月曜日

どんどん日の出が遅くなる

冬時間になって1時間出勤が遅れたことで、朝日を感じられるようになっていたのも束の間。

まだまだ日の出は遅くなります。


 
 
 
写真は朝7時30分(夏時間なら朝8時30分)
朝からツリーが輝いています。

2012年11月30日金曜日

皮弁カダバーコース at ルクセンブルク大公国


ボスがルクセンブルクで行われている皮弁カダバーコースでレクチャーするというので、車でご一緒させていただきました。
 

参加者はほとんどがイタリアの若手医師。イタリアではカダバーが使えないので、フランスやルクセンブルクのコースに参加せざるを得ないそうです。 

エキスパートによる実演→実習というメニューで、逆行性前腕橈側皮弁、後骨間動脈皮弁、前腕尺側皮弁、カイトフラップ,逆行性中手動脈皮弁、母指球皮弁を学びました。


病院はキレイ、銀行がたくさん入っていました。
職員はほぼ全員、英語、フランス語、ドイツ語とルクセンブルク語を話せるそうです。

 

実習風景



カイトフラップの祖、メリル先生ともお話させていただきました。

 
 
 

系統的に皮弁の実習をしたのは初めてだったので、貴重な経験になりました。

加えて、外国人のおじさんと計6時間ドライブするという貴重な経験になりました。

2012年11月26日月曜日

ロボット研修

ロボットマイクロの研修会がありました。
フランス、スイス、ブラジルから参加者約10人(整形外科手の外科、形成外科手の外科、神経外科)。

シュミレーター、ミミズ、鶏肉の血管を使って練習しました。


エキスパートに手ほどきを受けながら




手前は実機、奥はシュミレーター(テレビゲーム)




モニター画面、オペレーターにはもっと立体的かつ鮮明に術野が見えます




利点
カメラが2つついていて複眼になっている。通常のマイクロより立体的に見える。(かなり快適)
操作している手の動きを1分の1から5分の1の再現に調整できる。
アームの回内外が360度可能。

欠点
感覚のフィードバックがなく、抵抗はゲージとしてモニターに表示される。
マニュアルで手術した方が早い。


血管や神経のレーザー縫合と併用するとか、ナビゲーション機能とシンクロするようにするとか、
未来に向かって改良が進んでいます。
現時点では、腕神経叢などの神経移植手術をエンドスコピカリーに小皮切で行うことを適応の前面に挙げています。

2012年11月23日金曜日

手関節鏡研修コース(アドバンス)


ストラスブールでは毎年2回、手関節鏡研修が開かれます。

今回は中近東、ヨーロッパからの参加者が約50人集まりました。


エキスパートによる講義、カダバーを使ったデモンストレーションの後、

1つの検体に2人の受講生、1人のエキスパートがついて練習します。
 
 
丸二日、関節鏡漬け
 

 

僕個人は香港で行われた初心者コースにしか参加したことがなかったのですが、今回はアドバンスコースを見学することができました。(参加費を払っていないので見学だけで我慢してね。というわけでございます。)

母指CM関節鏡の手技が含まれていたこと以外は、初心者コースと研修内容に大きな違いはありませんでしたが、たくさんの先生の手技を見ることができました。

2012年11月19日月曜日

大学病院附属ワイナリー

橈骨遠位端骨折用のプレートを改良したから、カダバーで試してみよう。
とういうことで、手の外科の病院とは別施設にある解剖学教室に来ました。
当然ホルマリンの匂いがするのですが、ボスが
「ホルマリンとワインの香りのミックスだよ」と言うので、フランスジョークだと思ってツッコんだら、本当にワイナリーがあるそうで、帰りに案内してくれました。


巨大なワイン樽とボス
檻の中に保管されたワインはなんと1472年産
現存ワインでは世界最古?

試飲可能で品揃えも充実

1年間に100万ユーロの利益を上げるらしく、「どの科もワインに勝てない。大学病院一番の収入源。」だそうです。

2012年11月15日木曜日

はじめてのロボット

snuff box部のaneurysmに対して、瘤切除+静脈移植を行いました。
ロボットに針糸やガーゼを渡す助手として参加しましたが、
「もうちょっと右、あっ左、左、はいそこで鑷子開いて!」
と、道具の受け渡しに難渋(とにかくまぶしい)。


オペレーターは離れたところで操作


以前日本の忘年会でやった二人羽織を思い出しました。




手術終了後に実機でスポンジを縫う練習をさせてもらえました。

2012年11月14日水曜日

ストライキ? 続

フランスの医師がストライキに入っているのですが、少し状況を追記します。

医師はストライキに入ると自分がグレーヴィスト(ストライキします)なのか、ノングレーヴィスト(ストライキしないで通常通り働きます)なのかを宣言します。
つまり、労働組合の方針に従って全員お休み・完全ストップ。ではなく、個人の単位でストライキするかどうかを決めています。

例えば、今のボスはノングレーヴィストなので、外来も手術もバリバリ続けています。特に専門医の資格を持っている上級医は外来が減ると収入が減るので休みません。逆に、新人医師たちが「やってられない!」と言ってグレーヴィストになっています。全員が休んでしまうことは現実には不可能なので、グレーヴィストも当番で出勤します。

うちの病院は手の外科専門施設で救急患者は断れないので、救急外来はストライキだろうが患者さんで溢れます(20~50人/日)。その診療にあたるのは新人の仕事です。新人の仲間がグレーヴィストとして休んでいると、おのずと当番の別の新人の負担が増えます。とても大変そうで、非効率的です。

気になるのはノングレーヴィスト(ストライキしないで通常通り働きます)の処遇です。労働組合の方針に背いて仕事をしているわけですから、“「自由診療費収入50%カット」の政府決定を受け入れた”という意味になると思うのですが、それも違うそうです。
結局、労働組合と政府の双方が話し合ってでた結論に全員が従うのだそうです。

それって、「僕はグレーヴィストだ」とか「私はノングレーヴィストよ」という選択の意味があまりないような気が・・・
意見をはっきり言いたいキャラクターゆえの宣言なのかもしれません。



2012年11月12日月曜日

ストライキに入りました

結局、外科系医師を中心にストライキに入ってしまいました。
実際は当番制で出勤対応するそうですが、予定手術の多くがキャンセルとなり、患者さんはさぞ困っていると思います。


Grève (グレーヴ)= ストライキ

2012年11月11日日曜日

ストライキ?


大規模ストライキが起こりそうです。すでに新人が何人か来ていません。(なぜ個人でストライキができるのか意味が分かりませんが・・・)

「自由診療収入の医者の取り分が現時点より50%減る」ということが理由だそうです。

ボスは「タダみたいな値段で医者になってるんだから文句言わずに働け!私が新人の仕事をしないといけない。」とご立腹しています。

 
教授陣もストに入る可能性があるらしく、突入したら約5年ぶりの医者の大規模ストライキだそうです。

 

私は旅行の計画を立てざるを得ません。

2012年11月8日木曜日

デュプイトレン拘縮


デュプイトレン拘縮はギョーム・デュプイトレンの名前が由来ですが、

ギョーム(Guillaumeというのは英語でのウィリアム(William)と同じです。マイケルとミハエルみたいな。(GWで全然違う気がしますが・・・)

 

デュプイトレンという苗字もフランスではデュプイトハンみたいに発音しています。
デュプイトレン拘縮をデュプイトラン拘縮と表記することがありますが、たぶんもフランス語の発音から“ラン”を用いているのではないでしょうか?
(http://ja.forvo.com/word/guillaume_dupuytren/#fr)

 

ストラスブール手の外科ではデュプイトレン拘縮をPercutaneous needle fasciotomy治療しています。

コラゲナーゼは“研究者と製薬会社が仲良しに違いないし、そもそも値段が高い。”というご想像により使っていません。ちなみにインスブルックではたくさん使っていました。

 
Needle fasciotomyについては机上の想像だったので、こんな盲目的な手技でいいんかいな?と思っていましたが、実際見てみると、cord18G針で大胆にシャカシャカ切るのはMPレベルまでで、基節レベルまでは攻めていません。基節部のcordneedle fasciotomyしているとは教えていただきましたが、まだ基節部の手技は見ていません。手掌部のcordも浅いところをカットするだけで、あとは徒手的にバキバキバキっと指を伸展します。意外とMPレベルまでの処置でも軽度の拘縮ならPIPが伸展します。

確かにこれならコラゲナーゼと同じことだと思いました。

 

再発率が気になりますが、early stageなど適応を選べば有効な手技だと思いました。

2012年11月3日土曜日

クリスマスマーケットの準備


ストラスブールは“モミの木ツリー発祥の地”ということで、11月下旬からクリスマスまでクリスマスマーケットが開かれます。1か月間で100万人が訪れ、とても盛り上がるそうです。

 

クリスマスまではまだまだですが、街のメイン広場にはツリーが植えられました。

クレーンを使って少しずつデコレーションが施されています。
 
 
 
ツリーと大聖堂

2012年10月31日水曜日

橈骨遠位端骨折


橈骨遠位端骨折は基本全例手術にしています(500/年)。

15mmの小皮切です。

角度調整可能なロッキングシステムを作って、使っています。
 
整復操作の時に、牽引ではなく橈尺骨を外側から握りつぶすようにしてコンプレッションをかけて整復する動きがあるのですが、もしかしたらこれが肝なのかもしれません。
保存加療の時にでも使えそうなら試したいのですが、あいにく権利がありません。
またご報告します。
 

術後外固定はしません。

数か月経つと、傷はほとんど見えなくなります。

2012年10月26日金曜日

冬時間


毎朝家をでるのは715分なのですが、どんどん暗くなってきます。

病院へのトラムを待っているのですが、真っ暗。

 

日の出遅すぎ
 
 
 
 
冬時間(1時間時計がずれる)が待ち遠しいです。

2012年10月19日金曜日

ドイツでの勉強会


「ドイツのフライブルクでローカルな手の外科の会があるので行こう。」とボスから誘われ、一緒に車で片道1時間半かけて行ってきました。

 

参加者はフライブルク大学病院の手の外科メンバー、ドイツ・フランスの開業医さん、スイスのバーゼル大学の手の外科教授など約10人でした。

テーマはDRUJだったのですが、ワインを飲みながら、テーマに縛られない話が続きました。

 

印象に残ったのは、ヨーロッパでのインプラントに対する感覚です。

「こんな人工関節があったらいいと思ったんですよねー、で機械屋さんに試しに作ってもらったんですよねー、でまだフォローが2年までの短期成績ですがこんな感じになりました。」、みたいなケースシリーズが簡単に出てきます。

ボス曰く、「新しいインプラントを使えるまでは非常に長く険しい道のりだ。」と言うのですが、実際どれぐらいかかるのか聞いたら、「アイデアが浮かんでから患者さんに使うまでに6か月もかかった。」と嘆いていました。

インプラントを作ってヒットすればお金になるから、お医者さんも積極的です。

日本では考えられません。(日本では需要がそこまで無いのでしょうが・・・)
 
 


65歳女性
術後3年

日本ではそういうところで生き残った安全で機能的な製品(薬も?)を見極めてから皆が平等に享受できるというメリットがありますが、外国商品を買い続けなければならないという問題も残ります。

2012年10月14日日曜日

フランスの紅葉


フランスの秋も木々が紅葉します。

紅葉と言っても、“紅”ではなく、きれいに“黄葉”します
 
 
 
Château du Haut-Koenigsbourg

2012年10月8日月曜日

ストラスブール大学 手の外科


1階が手の外科、上は整形外科他分野の施設
整形外科全体のカンファはなく、独立した部署になっています。
 
 
 
 
手の外科はすべて日帰り。入院ベットはありません。

専門医+チーフレジデント6年生以上、専門医)が6人、6か月毎に回ってくるインターン医師(5年生以下)が4人います。


毎朝8時から前日の救急患者と手術症例のおさらい、その後外来or手術、火曜日と水曜日は19時まで術前カンファや薬・器械の説明会、他の曜日は18時までには終わります。

土曜日は休みですが、みなさん日本と同じくらい忙しそうです。

サラリーマンは35時間/週の労働時間が決められていて、残業代がものすごく高いので、会社が時間通りにしか働かせないそうですが、医者はすべてボランティアで残業しています。正直、個人的に思っていたフランスのイメージと違います。インスブルックとも違います。強いて言うなら年休が5週間あることでしょうが、それもdiplomaを取る研修の時間などに使うので全部をバカンスには充てられません。本当によく働いていると思います。

 

手術は基本すべて専門医が執刀。若手医師は手術のセッティングや器械出しをします。看護婦さんは外回りのみです。

逆に専門医の先生がこなれた手つきでサクサク手術をこなしていくので、とてもテンポがいいです。

 

各専門医の手術日は週3日で朝9時から、手根管・肘部管・ばね指・デュケルバンなど6,7件やったあとに骨折、関節鏡、人工関節、関節形成などが入り、もしあれば救急外傷が最後に入ります。前室で麻酔科医がブロックをして待っていてくれることも手伝って、計約10件が14~15時までにすべて終わってしまいます。


通学路から
川を流れる落ち葉がきれいですが、化学工場が近くにあり、たまに鼻をつく匂いがします。

2012年10月1日月曜日

ストラスブールの小学校


6歳半の息子はこちらのインターナショナルスクールに入学しました。
 
6割はフランス語授業、4割は英語授業という事前説明でしたが、

初日に「全部フランス語じゃないかー!全然わかんない!」と泣きまくりで帰ってきました。

「休み時間は何してたの?」と聞くと、「ずっと壁によりかかってた。」と。

昼休みは2時間もあるのに・・・悲しすぎる・・・。

まず親同士の友達を作らないと。

 
数日後に2人、日本人のハーフのお友達発見! お母さんはフランス人、大阪弁の7歳男の子と、お母さんはベルギー人、9歳の女の子。ママ友もできて一安心。長期滞在に伴う事務手続きをはじめ、たくさん助けていただきました。

 

日本の小学校と違うところ。

・もちろんタダ。学区がないので、どこに住んでいても申し込める(ドイツから通ってくる子多し。フランスはこれを許していいの?)。

・休み時間に間食OK、おもちゃも持って行ってOK。

・時間割なし、担任の先生のタイミングで「じゃ、そろそろ算数を始めましょうか」みたいに授業が進む。

・社会科見学も担任の先生次第、乗馬、クッキング、施設見学など、クラスによって全然時間の使い方が違う。
 
・給食費は収入によって異なる。我が家はフランスに貢献していないので、他の家庭より若干高め。

 

目下の悩みは、宿題が大変なことです。

物語を子供に読み聞かせするのですが、親が物語を解読できません。

間違った発音で読んでもしょうがないので、せめて和訳をしているのですが、超大変。

こっちが必死で訳している時間、子供にテレビを見て待ってもらう。という本末転倒な状態が続いています。見かねて、読み聞かせは大家さん(65歳のおばあちゃん、小説家)が買って出てくれました。ありがたいです。